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2013年8月2日

子供の背たけほどもある信楽タヌキ160体がお出迎え

滋賀県甲賀市信楽町で、10 月1 日〜20 日、「第2回 信楽まちなか芸術祭」開催

工房、窯元、高校生、一般も制作に参加、オール信楽の取り組み

「まちなか芸術祭記念作品展」、「信楽陶器まつり」など多彩な催し


子供の背丈ほどもあるひょうきんな表情の陶器製の大型タヌキ160体が、街中のいたるところに立って出迎えてくれる。普段でも店舗やあちこちに伝統的なタヌキが溢れているのに、新たな仲間が加わり、まるでタヌキの国にさまよい込んだ感覚。同じ表情、いでたちのものはなく、個性豊かなオンリーワンのタヌキ達。中には人間に化けたり、他の動物に化けたりしたタヌキも混じる。しかし、いずれのタヌキも訪れた人を精一杯の愛嬌で出迎えてくれ、八百万の神ならぬ“160福タヌキ”として招福、開運、商売繁盛…の縁起を振りまく。(右写真はポスター使用写真の一部)

信楽焼で知られる伝統陶器産地、滋賀県甲賀市信楽で、10 月1 日(火)〜10 月20 日(日)の期間、「第2回 信楽まちなか芸術祭」が開催される。信楽焼振興協議会(会長・上田益男))が中心となって組織した信楽まちなか芸術祭実行委員会(上田益男実行委員長)が主催する。日本六古窯の一つに数えられる“やきもののまち” 信楽を全国にアピールし、信楽焼のより一層の普及、信楽観光の発展促進に弾みをつけたいというねらい。地域、街ぐるみで一丸となって取り組む全国でも珍しい地域おこし。
「第2回 信楽まちなか芸術祭」の呼び物の一つが「THE TANUKI‐たぬき・狸・タヌキ-」。信楽焼の代名詞ともいえる「タヌキの置物」を新たにオリジナル創作、信楽の街の中心を走る幹線道路沿いに展示しようという企画。信楽の窯元、陶芸作家、工房、高校などオール信楽で制作に参加、160体を堂々展示、街全体を美術館にしようという“ギネス級”、初めての試み。ひょうきんな顔立ちと縁起のよさで人気抜群のタヌキの置物は、信楽焼の象徴的な存在。編み笠を被り少し首をかしげながら右手に徳利を持った「酒買い小僧」型の他、バリエーションも多い。今回、信楽まちなかに登場するタヌキの置物は、こうした従来のデザインにこだわらずそれぞれが自由な発想で創作した“新種”のTANUKIになる。5月より順次、制作を開始、乾燥、素焼き、釉薬で彩色した上で焼成、9月中旬には全作品が完成する手順。

「第2回 信楽まちなか芸術祭」開催概要
■会期 2013 年10 月1 日(火)〜10 月20 日(日)
■会場 滋賀県甲賀市信楽町(まちなか、陶芸の森 )他
■主催 信楽まちなか芸術祭実行委員会
■助成 全日本社会貢献団体機構


大型タヌキ160体を展示する「THE TANUKI‐たぬき・狸・タヌキ-」の他(信楽まちなか)、信楽焼作家の最新作を展示発表する「まちなか芸術祭記念作品展」(信楽伝統産業会館)、信楽の特徴である大物陶器の展示を行う「信楽焼エクステリアの今昔」(陶芸の森)、作り手である陶芸家を中心とした“作家市”「セラミック・アート・マーケットin陶芸の森2013」(陶芸の森)、「信楽陶器まつり・総合展」(信楽産業展示館)、「陶器謝恩即売会」(信楽地域市民センター周辺・特設会場※台風の影響で各陶器店での開催に変更となりました)などが開催される。

また、16世紀末の窯を再現した「金山窯」や伝統的な登り窯を、実際に窯元や作家で焼成する「登り窯・金山窯焼成プロジェクト」(陶芸の森)では、昔ながらの薪を使った焼成が再現され、モクモクと窯の煙が立ち上るいにしえの風景が復活する。ガス窯にとって代わられた焼成過程にはない、土と炎に挑む人間の姿は感動を呼ぶ。

さらに住民自らが「まちなか芸術祭」を盛り上げるために、まちなかを散策して楽しめる企画(「ぶらり窯元めぐり」など)や各種イベントを実施する。オール信楽、地域ぐるみで、信楽の過去、現在、未来を伝え、信楽の魅力を全国にアピールしようというものだ。今年の秋、160福タヌキの縁起を授かりに、街全体が舞台となり、美術館となる信楽を訪ねてみてはいかが。地元では期間中10万人の人出を見込んでいる。(右写真はポスター)


信楽焼振興協議会の会長、信楽陶器卸商業協同組合・理事長でもある上田益男実行委員長は「第2回 信楽まちなか芸術祭」開催について「日本六古窯のひとつ、山紫水明、風光明媚な信楽の地で3年に一度の「第2回 信楽まちなか芸術祭」を開催します。学びの「陶芸の森」会場、出会いの「まちなか」会場、古来より連綿と受け継がれて来た信楽焼の伝統とぬくもり、そしてこの地で暮らす者たちの普段からのありのままの生活や文化を肌に感じていただければと思います。プロの作家から一般参加の中高校生まで、たくさんの人々が個々の感性を最大限に表現して参加する「THE TANUKI」の事業や、窯元自らが伝えたい信楽焼を発信する展示事業、薪の香りがどこか懐かしい登り窯の窯焚き、そして陶器店、飲食店による皆様へのおもてなしなど、オール信楽


さらに住民自らが「まちなか芸術祭」を盛り上げるために、まちなかを散策して楽しめる企画(「ぶらり窯元めぐり」など)や各種イベントを実施する。オール信楽、地域ぐるみで、信楽の過去、現在、未来を伝え、信楽の魅力を全国にアピールしようというものだ。今年の秋、160福タヌキの縁起を授かりに、街全体が舞台となり、美術館となる信楽を訪ねてみてはいかが。地元では期間中10万人の人出を見込んでいる。
で多彩なイベントを開催させていただきます。秋の行楽はぜひ信楽でお過ごしください、皆様のお越しをお待ちしております。」と語る。(右写真)

「THE TANUKIーたぬき・狸・タヌキー」事業は、陶芸家の団体である「信楽陶芸作家協会」が中心となり企画推進を行った。タヌキ制作は各窯元、学校などでも行われているが、90%以上は休業している窯元の大きな工場を借り受けて行われている。石膏で作られたタヌキの雌型が用意されていて、誰でも原型(高さ約120cmだが、焼きあげると収縮して100 cm前後となる。重さは完成時35〜40s前後)が作れる。この原型をもとに自分なりにアレンジを加え、装飾を加えていく。だから何の道具を持っていない一般の人でも、ここに来れば、材料も道具も、また指導してくれる専門家もいる。自分、あるいはグループの都合のよい日時を選んで、タヌキ作りに挑むことができた。


この制作工房で指導役でもある陶芸作家、谷野明夫さん(甲賀市指定信楽焼無形文化財技術保持者))は、「この現場に来ると、同じ信楽に住んでいても会話をしたことのない作家さんや一般の人と親しくなれ、新たなコミュニティが生まれているのが新鮮な喜びです」と語る。

自身も1点の作品を出品する。原型のタヌキに高度、精巧な象嵌を施した芸術性あふれる作品。屋外に展示するのはもったいない気さえする。「片目はつぶった状態ですが、タヌキが向こう側から人間社会を覗いている姿を表現しました」と語る。(右写真)


窯元の丸滋製陶株式会社の代表である今井 智一さんも、タヌキを制作する。今井さんは自社工場内で時間をやりくりしながら制作を行っている。

「昔の信楽焼火鉢といえば、海鼠釉(なまこゆう)で知られています。焼き上げるとつややかな深みのある青になります。複雑な乳濁現象が起き流紋や斑紋が生じ、ナマコの地肌に似ていることから呼ばれていますが、僕は信楽焼火鉢を連想させる海鼠釉で仕上げたいと思っています。(上左写真)

信楽には、インドネシアからの留学生Sidik Purnomo(シディック)君。(上左から2番目写真)とLinda Nur Mastuti(リンダ)さん(上左から3番目写真)の二人が、陶芸を勉強するため今年3月から1年間研修に来ている。二人は、信楽の窯元に住み込みながら陶芸を学んでいる。丸滋製陶株式会社で研修するリンダさんは、すでに素焼き前のタヌキを制作済み。型から外すなどの数人がかりの作業は同僚の手を借りたが、基本的に制作は一人で行った。別の窯元にいるシディック君も一人でタヌキを制作しているという。

二人は中部ジャワのパグルジュランバヤットの伝統工芸専門高等学校の第1期の卒業生。同校は陶芸家の川崎千足氏(京都精華大学名誉教授)が尽力して2009年に設立した陶芸を教える学校。

日本のように平面のロクロではなく、盤面が60度も傾いた「斜めロクロ」を使用するインドネシアの野焼き土器の研究で訪れた川崎氏が、地域住民のために奔走して開校した。卒業生の進路拡大を図るために川崎氏の配慮で、二人は来日した。二人は信楽が一丸となって取り組む「第2回 信楽まちなか芸術祭」に一緒に参加できることの喜びを隠さない。


滋賀県立信楽高等学校(吉澤松美校長)もタヌキを制作・展示する。同校は陶器の街らしく普通科と工業学科(セラミック科とデザイン科)が併設されている。校内には、信楽焼の焼成技術を生かした穴窯、紫雲窯(しうんがま)があり、主に陶芸部の部活動や、セラミック科の授業での焼成作業に使われる。(上写真2点は生徒の作品)

今回の催しは授業の一環として取り組む。生徒5体、教師陣5体の合計10体のタヌキを出展する。普段の授業では、こんなに大きな作品を制作することはなく、生徒にとっても初めての試み。また、学校では型起しから始めた。デザイン科の生徒〔約40名〕がタヌキのデザインを担当し、セラミック科(約30名)の生徒が造形を担当し、学科の枠を越えた協働作業で制作する。上写真滋賀県立信楽高等学校生徒の作品

かつて陶磁器産地各地に10校ほどあった陶芸専門高校は現在、信楽高等学校の他2〜3校に減っている。信楽高等学校は来年からセラミック科、デザイン科の名称が変わり、普通科を加えて3系列を持つ総合学科に改編する。それに伴いこれまで県内に限られていた生徒が、県外5名の入学生を募集する仕組みを導入する。地域に根差した学校づくりを行う信楽高等学校は、今後は陶芸を目指す全国の若者を受け入れる陶芸専門高校として異彩を放っていきそうだ。


学校単位ではMIHO美学院中等教育学校の男女生徒16人も、先生とともに4体のタヌキ制作に取り組んでいる。出来栄えは中学生の作品とは思えない。左写真(7月25日撮影)

初めての作品づくりに挑んだ一般の臼井照子さんは、習っているフラメンコがテーマ。一体目はいつの間にかフラメンコが相撲力士になったが、2体目は最初の思いのフラメンコの狸を作ることができたという。(下左写真左が臼井さんの作品、他は制作途中のタヌキ達)

「第2回 信楽まちなか芸術祭」イベント内容(会場別)                                

まちなか会場

■THE TANUKI ーたぬき・狸・タヌキー

信楽在住の陶芸作家を中心に、オール信楽で挑戦するイベント。伝統色づくまちなか各所に、作家や一般、学校が一人一人独自の感性で制作する信楽の代名詞「タヌキの置物」を160 体以上を制作・展示。伝統とアートが融合する「信楽の今」を感じることができる。

・開催日程: 10 月1日(火)〜10 月20 日(日) 9:30〜16:30
・場所:まちなか会場(設置予定MAPはコチラを参照。地図の赤マーク)

■「まちなか芸術祭記念作品展」

THE TANUKIに出展する作家が普段制作している作品をはじめ、信楽でやきものづくりをしている陶芸家の作品の発表。

・開催日程: 10 月1日(火)〜10 月20 日(日) 9:00〜17:00
・場所:信楽伝統産業会館

■「信楽Q&A」

会期中信楽高原鐵道の利用者に、「信楽Q&A」のクイズを出題。正解者にプレゼントあり。

■住民まちなかプロジェクト

住民自らが「まちなか芸術祭」を盛り上げるために、まちなかを散策して楽しめる企画(「ぶらり窯元めぐり」など)やイベントを実施。窯元散策路では約20社の窯元を訪問できる。窯元散策路MAPはコチラを参照。

一周約2qの窯元散策路のスタートは新宮神社からは始まる。窯元には歓迎の看板が。

途中で発掘復元された登り窯を見学できる。かつて200以上あった登り窯は、今では現役は2〜3つくらいという。

草に覆われた登り窯もある

散策路には「ロクロ」「カマヅメ」などの表示が埋め込まれている

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陶芸の森会場                                               

■「信楽焼エクステリアの今昔」

信楽の特徴である大物陶器の展示。過去から現在におけるエクステリア製品の展示を通して、大物陶器と信楽の関わりを紹介する。

・開催日程: 10 月01(火)〜20 日(日)9:30〜17:00
・場所:滋賀県立陶芸の森 産業展示館

■お茶漬けの日企画「あなたはどれで・・・お茶漬け碗」

10月4日「陶器の日」=「お茶漬けを食べる日」にちなんだ、食を通して考える信楽の器展を開催。「お茶漬け」というシンプルなメニューだからみえてくる陶器の魅力を伝える。

・開催日程:2013 年10 月01(火)〜10 月20 日(日)9:30〜17:00
・場所:滋賀県陶芸の森 産業展示館 町内協力店舗

■「セラミック・アート・マーケットin陶芸の森2013」

「作り手と使い手の出会いの場」をテーマに、作り手である陶芸家たちが直接お客さんと接しながら、自らの作品を販売する作家市。

・開催日程: 10 月12(土)〜10 月14 日(月祝)9:30〜17:00
・場所:滋賀県立陶芸の森 太陽の広場

■登り窯・金山窯焼成プロジェクト

信楽で発掘調査された16世紀末の窯を再現した「金山窯」や伝統的な登り窯を、実際に窯元や作家で焼成するプロジェクト。日頃なかなか焼成することのない薪での窯焚きを通して、陶芸の歴史を学ぶことができる。会期中、山間にモクモクと窯の煙立ち上るいにしえの風景も必見。
・焼成: 10 月1日(火)〜10 月4日(金)
・場所:滋賀県陶芸の森 登り窯・金山窯

なお、滋賀県立陶芸の森の陶芸館では「第2回 信楽まちなか芸術祭」の期間中に以下の特別展を開催する。「第2回 信楽まちなか芸術祭」と合わせて観覧してみてはいかが


「金山窯」   

■特別展「酒器の玉手箱」〜人生を楽しむやきものシリーズ@〜

・開催日:2013年10月2日(水)〜12月15日(日)
・会 場:滋賀県立陶芸の森 陶芸館

「盃をかわす」「盃論」などの言葉が意味するように、盃は単に飲酒器であるだけでなく、人間関係を媒介する道具であるともいえます。日本人は人と人との絆を深め、また日々の暮らしを楽しむために、さまざまな酒器を生み出してきました。本展では、人生を楽しむ器文化の代表ともいえる「酒器」に注目し、盃、銚子、徳利など、江戸時代後期から現代までのこだわりの酒器役150点を展示します。まるで玉手箱を開けたように、多彩なやきもの酒器の世界をお楽しみください。

永楽保全 湖南焼「染付金襴手龍門馬上杯」1852年(左写真)
梅林焼「三彩茄子形徳利」江戸時代後期(18c-19c)(右写真)


第60回信楽陶器まつり                                                     このページの先頭へ 

■第81回信楽陶器総合展 「信楽からつたえたいコト展」

信楽焼の作り手自らが、信楽焼を通して伝えたい想いを込めた自信作を展示・情報発信します。作り手の想いの詰まった「信楽の今」を感じて下さい。

・開催日程: 10月1日(火)〜10月20日(日)
・会場:信楽産業展示館 

■陶器謝恩即売会 

年に一度の信楽焼のビッグイベント。信楽焼の陶器はもちろん、地元産物や食のコーナーなど開催予定。期間中、6万人の来場者を見込む(昨年は約5万8千人)。かつては火鉢など大型製品が売れたが、最近は食器などが売れ筋の中心。一人当たり客単価は3,000円〜5,000円の予想。5,000円で5,500円の買い物ができるやきもの王国おかいものチケット1,200セットを販売する予定であるが、例年2日目で売り切れとなる。

・開催日程: :10月12日(土)〜10月14日(月・祝) 9:00〜17:00
・会場:信楽地域市民センター周辺特設会場※台風の影響で各陶器店での開催に変更となりました。


参考:信楽焼

信楽焼は、鎌倉中期に興った産地で日本六古窯の一つに数えられる伝統を誇る産地である。付近の丘陵から良質の陶土がでる土地柄である。その始まりは、天平14年(742年)聖武天皇が紫香楽宮の造営に着手した際に、布目瓦、汁器の須恵器を信楽で焼いたことに始まる。その後、水がめ、種壷、茶壷、茶器、まちなか徳利、火鉢、植木鉢など大物から小物に至るまで信楽焼独特の「わび」「さび」を残し今日に至っている。

時代別では、室町・安土・桃山時代には茶陶が盛んになり、さらに江戸時代には茶壷の生産、商業の発達に伴い、日用の雑貨類(梅壷・みそ壷・徳利・土鍋等)が作られるようになった。

明治時代になると、釉薬が研究・開発され火鉢生産が盛んとなり、昭和30年代前半まで主製品(日本国内のシェアは約80%)であった。他の産地に比べて、陶土の粒が粗いので、大き目の陶製品を得意としたからだ。信楽高原鐵道も、この火鉢を出荷するために運行されたのが始まりである。

現在の信楽焼き生産の内訳は、45%が建築用のタイル、2%が植木鉢、17%は傘立て、23%は食器、タヌキ等置物は8%、花器が5%という構成である。

現在の信楽焼の窯は約90社、在住の作家は約300人、卸売・問屋が約40社程度


参考:タヌキの置物                                                このページの先頭へ
ひょうきんな顔立ちながら縁起のよさで人気抜群のタヌキの置物。商売繁盛と洒落て店の軒先に置かれることが多い。編み笠を被り少し首をかしげなが(下写真は様々なタヌキの置物)。

信楽ではタヌキの置物は現在年間10万個生産され、信楽地域の人口1万2千人に対して、約8倍のタヌキが毎年生まれ、全国に出荷されている。このタヌキは大正末期から昭和初期に生まれた。焼き物で楽しいものをつくろう、という発想から生まれた縁起物でカエル、フクロウもその中の一つ。タヌキが全国的に有名になったのは昭和26年、昭和天皇が信楽を行幸した時から。天皇の出迎えを盛大にと地元民が考えたが、人口が少ないので限界の壁に突き当たる。そこで苦肉の策として考えられたのが、焼き物のタヌキに日の丸を持たせるという身代わり作戦、案山子作戦。天皇はこれに感激し「をさなどき あつめしからになつかしも 信楽焼の狸をみれば」と詠まれたことが報道されたのがきっかけでブレイク。信楽にタヌキありの名声を一躍全国に轟かせる。

その後、「他ヌキ」から他の人を抜いて合格する意に解し、受験生などのお守りや開運、招福の縁起物として人気になっている。信楽タヌキのデザインには、災難から身を守る笠や信用を意味する通い帳など八つの意味「八相 縁起」が表現されている。また、同じく信楽焼きのカエルは「無事に帰る」の意を含み、玄関先に置く縁起物として人気になっている。

右写真:信楽町長野・新宮神社の歌碑


参考:信楽観光の現状

JR草津線貴生川駅と接続する信楽高原鐵道が信楽と結ぶ。豊かな歴史と信楽焼の里として、また標高285メートルの緑あふれる高原の町として、多くの観光客を引き付ける。現在の観光客は年間160万人。中でも日本六古窯の1つに数えられる信楽焼は観光の柱。街の至るところで、信楽焼の象徴的な存在の大タヌキのお出迎えがある。道筋に大小さまざまなユーモラスなタヌキの置物が並ぶ町の光景は、ほかでは見られない焼き物の里として、独特の雰囲気に満ちている。

信楽高原鐵道
信楽駅前には巨大タヌキが
信楽駅のホームでタヌキがお出迎え

歴史的なものとしては、紫香楽宮跡 <宮町遺跡>、愛宕神社・陶器神社、仙禅寺跡磨崖仏などがあり、また文化的なものとして滋賀県立陶芸の森、信楽伝統産業会館で歴史や文化にふれることができる。また信楽駅前から続く窯元散策路では、古いたたずまいの路。登り窯や無造作に積まれた古い火鉢、「陶生町」「焼屋町」といった町名が、陶都信楽ならではの風情をかもし出している。信楽焼を産地価格で売る工房や店舗があちこちにあり、気に入った作品を発見するのも観光の楽しみ。土と遊ぶ楽しさが体験できる陶芸教室も各所で開催されている。近くの観光スポットとしては、同じ甲賀市の甲賀の里「忍術村」や甲賀流忍術屋敷などがある。

「第2回 信楽まちなか芸術祭」の幾つかのイベントの会場となる滋賀県立陶芸の森は、年間30万人が訪れる信楽観光の大きな柱である。信楽町が見渡せる小高い丘の上に立地する。やきものを素材に創造・研修・展示など多様な機能を持つ公園として、また、人・物・情報の交流を通して地域産業の振興や新しい文化創造の場とするとともに、滋賀から世界へ情報を発信することを目的に、平成2年6月に竣工、開設された。

陶芸館(陶芸の美術館)、甲賀市立信楽産業展示館(信楽焼の今を一堂に紹介する)、創作研修館(国の内外から陶芸家等のアーティストを受け入れ、創作にふさわしい場所や設備の提供を行い、創作の芽を育てることを目的としている)などで構成される。

また、信楽の北西方向に立地するMIHO MUSEUMは年間13万人が訪れる美術館。建築設計は、フランス・ルーブル美術館のガラスのピラミッド等で世界的に知られるI.M.Pei氏による。所蔵品は、エジプト、ギリシア・ローマ、西アジア、中央アジア、南アジア、中国、朝鮮、古代アメリカなどの古代美術と、仏教美術や、茶道美術をはじめ、絵画、漆工、陶磁器などの日本古美術をあわせて、約2,000点からなり、季節により内外からの出陳を加えて、常時250〜500点を展示している。

また、特別展も企画され、「第2回 信楽まちなか芸術祭」の期間中の9月1日(日)〜12月15日(日)までの期間は、2013年秋季特別展 朱漆「根来」―中世に咲いた華を開催する予定。


MIHO MUSEUMのトンネル

MIHO MUSEUMのエントランス

参考:信楽までのアクセス

車で
新名神高速道路「信楽IC」から、国道307 号沿いに約10 分。または名阪国道「壬生野IC」より約30 分

電車で
JR 琵琶湖線「草津駅」より、JR 草津線に乗り換え「貴生川駅」下車。貴生川駅にてSKR 信楽高原鐵道に乗車し終点「信楽駅」まで。

・バスで
JR 琵琶湖線「石山駅」より、帝産バス「信楽」行終点まで


お問い合わせは
■2013年度第2回 信楽まちなか芸術祭実行委員会事務局
〒529-1851 滋賀県甲賀市信楽町長野1203 甲賀市役所信楽地域市民センター東別館
平日8:30 〜17:30 土日定休
Tel:0748-70-3304   0748-70-2034 Fax:0748-70-3141
E-mail:info@shigaraki-fes.com

■インフォメーションセンター(信楽町観光協会 東京広報事務局)
東京都中央区銀座1-22-10 銀座ストークビル(〒104-0061)
電話 03-3563-3181  FAX 03-3562-5267
佐々木 創平(携帯電話090-4727-4167) E-Mail sohei@Info-ginza.com
佐々木 勉(携帯電話090-4729-0545)E-Mail  sasaki@info-ginza.com